――黒船来航。幕末――

日本国家の近代化黎明期。
あらゆる運命が集い、
戦禍となって渦巻く革命の時。

そんな時代の桜舞う頃…
真昼の空に三日月がきらめいた土佐の地に、
令和の女子大生が舞い降りた。

浮世離れした出で立ちや言動は
否応なく周囲の注目を引き、
『今生かぐや姫』と揶揄される。

その身に沁みついた現代ならではの世界観、
多様性を基底に据えた価値観、
そして多岐にわたる教養・知識は、
この幕末にあっては如実に生と死を分かつ程、
『過激』であり『真新しい』ものだった。


故に、

ある者からは慕われ、
ある者からは歓迎され、
ある者からは求められ、
ある者からは奇異の目で見られ、
ある者からは非難と敵対の罵声を浴び…
ある者からは拒絶されながらも、
ある者からは『ジョン万次郎』の再来とされ、
引き立てを受ける。


なぜこの時代にやってきたのかは
誰も知りようがない。
見知らぬこの時代でひたすらに
『今』を生きるしかない『かぐや姫』は、
周囲からの庇護と敵対との摩擦を受けて過ごす日々の中で
著名な幕末の人物達と出会う。


―あなたは―

運命を知るその翡翠色の瞳で
彼らの歴史を見つめ、

介入し、

その素顔に、

その命に触れてゆく―


春の白月の如く、天啓の如く。
常に寄り添い空を舞う、彼の白隼と共に…。