※お試し小説※



「あらぁ〜!内蔵太さんじゃない!遊びに来てくれたの〜?」
キョロキョロするところに進行方向先にいた一人の女性が内蔵太に気付いた様だった。
―と、『抱きつく』とまでは言わないが内蔵太に飛び掛ってきた。
突然のアタックに内蔵太が『エッ!!!!』と目を丸くして驚く一方、の表情は
みるみるうちに軽蔑を伴う色へと変色していく。
明らかに『やべぇっ!!!』という勢いで焦りだした内蔵太は、女を向こうへ押しやり
少し離れた場所で何やら会話をすると、ようやく別れてコチラへ戻ってきた。
女は『約束よ〜』と意味深な言葉と共に手を振り、内蔵太は顔を赤くして
「早くいけよ!」と追い払うが…には聴き捨てならない。
「(な…何!?もしかして、遊郭のオンナノコ・・・!?!?)」

内蔵太が改めて振り返るとの視線は白けていて、且つ剃刀の様に鋭かった。
「あ…あはは!いや、あれはその…まあ、おんしにもわかるじゃろ?」
内蔵太がどういうつもりで『わかるだろ?』と言って来たのかは知らないが、
いくら自分の様な男女相手だとしても、女性に対して無神経なのではと
神経を逆撫でられる感じだった。

まあ、別に内蔵太とは知り合ったばかりだし内蔵太が青年らしくどこで誰と
ナニをしていようが関係無いのだが、やっぱり女として面白くないのは当然である。
突然『雄』の部分を目の当たりにしてしまったのだから、一応これでも純情派な
にはショックでもあったのだろう。
▼『池内蔵太』へもどる▼  ▼他の登場人物▼