※お試し小説※



当然、陸奥も冗談のつもりで「作戦か?」などと口走った訳だが、改めての体重や体温を
感じる体のいたる部分に神経を集中させると『…かなり有効な作戦かも知んねぇ…』などと
考えてしまう自分に苦笑した。
男たちが遠くでチラチラしているのを小さな隙間から伺いつつ、陸奥は言う。
「……なあ…」
「…なに。」
こういう状況でも、さすがにこんな体制にあってはも良からぬ雑念を抱いて
しまうのだろう。それを否定するかの様に、不機嫌そうで陸奥を突き放す様な
冷たい返事を返すが、陸奥はあえておちゃらけて続ける。
「ここでもし見つかったら、どうなっちまうのかねぇ?」
「…清河さんの居場所吐かせようとして、拷問にかけられるかもね」
は陸奥をビビらせるつもりで色気もない事を言ったつもりだったが、
陸奥の飄々とした弁達者ぶりにはかなうはずもない。
「えぇ〜拷問にかけられて痛い思いするぐれぇなら、今ここで気持ちいい思い出作っとこうか?」

ードスッ!!!!

「ぐえっ……!!!」
「…次言ったら、そんな事一生できない様に股間蹴り上げるよ」
みぞおちに強烈な肘鉄を食らわせたの声は、ある意味本気の波動を放っていた。
陸奥は思わず涙ぐみつつも苦笑し、『冗談だって冗談…』と言いながらも
この調子で股間を蹴り上げられた後の男子生命を思ってには手を出さない事を誓った。



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