龍馬の問いも聞いてない勢いで小包を手に取る。
両手の掌に収まるくらいの大きさで、見た目よりも少し重い。
金属系のものだろうか?
わくわくを堪えきれないは上目遣いで龍馬へ視線をやり、開けてもいいかと尋ねた。
もちろんと頷いた龍馬を前に、は「うひょぅ!」と奇声をあげると素早く且つ器用に
包みをはいでいく。
「わあ!何これ!?あ、お香?」
茶瓶の様なモノが現れ、中を覗くと香りのする粉の様なモノが入っていた。
頷いた龍馬は身を乗り出し、まるで商売人の様にこの商品をアピールし始める。
「会津の方から流れてきたモンらしゅうての、安眠効果があるとか無いとかいう話じゃ」
アピールする割りには酷く謎の多いその効果に思わず吹き出す。
「あはは!あるとか無いとかって、どっちよ!怪しいな〜コレ!」
「何を言いゆう〜!心外じゃのう?これはれっきとした安眠七つ道具の一つじゃぞ?」
「安眠七つ道具!?あはははは!じゃあ他に『安眠道具』は何があるの?」
「おっ!よう聞いてくれた!ここに持ってこられんで残念じゃが、他には『安眠枕』
『安眠布団』、『安眠寝巻き』それから…おお、『安眠褌』なんかもあったかの!?」
「あはははは!!」
龍馬の訳のわからない冗談話が、今日はいつもよりもずっと楽しく、そして嬉しく思える。
やっぱり、病気のときにお見舞いに来てくれる事の嬉しさときたらやっぱり特大だったし、
ぼんやりと会いたいなと思っていた時に会いに来てくれたのが、より元気の源と
なったのだろう。
▼『坂本龍馬』へもどる▼ ▼他の登場人物▼