「さんじゃ。武市さんに付いて、江戸へ遊学に来ちゅう!
その子は優秀じゃぞ、高杉さん。わしのお墨付きじゃ★」
「えっ?あっ、初めまして、です!」
龍馬に紹介された事に気がつき、とっさに名を告げる。
高杉は少し物思う様な顔をして「へえ」と相槌を打ち、一歩二歩との前へと近づくと、
酒の匂いを突きつけるかの様にズイと顔を近づけてきた。
突然目の前に高杉の顔が迫ったので『あっ』と驚くが、高杉の方は何やら
まるで診察でもするかの様にの顔を覗き込んでいた。
あからさまに顔をそむけるのも、後で高杉が怒ったりしたら怖いと思ったので
視線だけ逸らして何とか耐えていると、彼はようやく満足したのか
「へぇ〜…」
などと言いながら離れてくれた。
気が気でなかったのはだけでなく、寅之進や武市も人知れずホッと息をつく。
高杉はまだ、何かを探る様な視線を送ってはいたが、すぐに
「君は、志士か?」
と一言尋ねる。
武市の共で江戸まで来たと紹介を受けたのだから、が勤王志士である事は
とっくに高杉もわかっているだろう。
改めて尋ねるべき理由があったのだ。それを示唆するかの如く、高杉の視線は
興味深気にを捕らえ続けていた。
「は、はい。あの、多分高杉さん達と同じ方針で動いていると思います…」
「そうか。…ま、坂本君のお隅付きでは恥ずかしいだろうが、随分買われている様だな。
是非話を聞かせてもらいたいもんだ。」
と、手を差し出してきた。
はゴクリと生唾を飲み、高杉晋作と握手をする。
手と手を握り合った一瞬、高杉がニヤリと笑った様な気がしたしたのだが、
先程高杉にないがしろにされたと龍馬が
「おいおいそりゃないぜよ高杉さん!」
と割り込んできたので、確信する事ができなかった。
「はっはっは!まあ今夜は堅い話はナシだ!おい皆、ここは僕の仕切りだから
好きなように飲んで食って、好きなだけ女を抱いてやれ!」
(うっ・・・私のことまるで女扱いしてないな…別にいいけど…;)
こうして、高杉との華やかな夜が始まるのだった…。
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