所属・拠点:土佐藩
天保15年生(約3才年下)
身長:160cm、中肉中背
性格:胸襟秀麗、好青年、努力家、
真面目、誠実
一人称:俺、自分
二人称:貴女
出会い:安政6年・土佐日常編
物語:「忠櫻録」
Image Colors:黄支子色
土佐郷士の中でも微禄の家に生まれ、貧困の中で育った。
齢5歳の頃に父と母を亡くし、近い親戚もいない為、祖父、そして2歳年下の弟との3人で暮らし。寅之進は嫡男ではあったがあまりにも幼齢であった為、隠居の身であった祖父が後見人として家督を預かり、老体に鞭を打って孫二人を育てるといった少々特種な事情のある家であった。両親のいない寂しさに屈してしまっていたのは当時わずか3歳であった弟の方で、兄であった5歳の寅之進は優しく弟を支え、そして祖父には心配をかけまいと常に気丈に振舞い、且つ、遊び盛りの気持ちを抑えしっかりと祖父を見てその仕事を覚えんとする極めて健気な子供であった。
元々家禄の少ない家ではあったが、無情にも先の事情(当主不在の特別処置)を理由に禄が減らされ、下男などを置く事もできない中で寅之進は弟の世話や家事などをこなすのに精一杯。どこかの塾で学問を学んだり、徹底して剣術を磨き上げるといった余裕などない少年時代を過ごしていた。
真面目で責任感が強く、且つ苦労を表に出さない。自分の事よりも、文武に才が見られる弟が将来『部屋住み』ではなく『良き養子縁組』に巡り合える様、彼への投資には躊躇わないなど…苦労人ながらも、家族想いで爽やかな好青年へと成長した。坂本龍馬などは親愛の意を込めて『小さな武市半平太』という意味の『小武市』などとあだ名をつける事も。15歳になった寅之進が正式に家督を継いだ時は皆が祝福し、その後すぐに祖父が亡くなった時だけは酷く落ち込む姿が見られたものの、そこからは一層、郷士職であったり弟の為の内職なりにと励む姿が逆に周囲の誰かを勇気付けたりする程、本人は意図しない影響力のある青年となっていた。
それから間もなく、16歳となる年の春。郷士職も板につき、生活にも安定が見え始めた故か、顔を合わせる人合わせる人から『そろそろ嫁を迎えたらどうか』等と言われる様になった頃。城下近辺において『かぐや姫』の噂が広がり始める。
自分には無関係だと思っていた彼女との出会いこそが、寅之進の『運命』を大きく変えた。
まず、生活の質からして質素を好まざるを得なかった寅之進であったが、男装の麗人のまるで天女の如き華やかな雰囲気には一目見て圧倒されてしまった。それだけでなく、学識は浅いはずの寅之進であったが彼女が話す『未知なる世界のしくみ』を的確に理解し、そして柔軟に想像力を働かせることができた。これまでは時勢について深く想い巡らせる余裕が無かったものの、周囲の話を聞いて『夷狄憎し』『尊王攘夷』という思想を以て開国の憂いに思い馳せる事は幾度かあった。それが、龍馬と共に耳を傾けた彼女の話を聞いて大きく傾倒する事となったのである。
そして何より、『運命を変えた』という文字通りの確変が、彼の人生を変える。
寅之進は彼女と出会ったからこそ。
彼女は寅之進と出会ったからこそ。
歴史と運命、その真理と奇跡を体感する事ができた。
寅之進がいたからこそ、『かぐやの君』の物語は今日へと語り継がれている。