●元治元年…高杉25歳・はつみ23歳
―長州・萩―
長州激震
脱藩罪で野山獄へ投獄された後座敷牢となり、自宅にて蟄居面会謝絶となっていた高杉。
英国密留学から帰っていた井上聞多がやってきて、高杉の父は知らぬ顔をして面会を黙認する。周布との獄中会話以降外の情報は殆ど得られていなかった為、先日ついに世子定広が進発した所までの情報を得る。同時に諸外国が長州へ報復戦争をしかけようとしている事についても話し、朝幕からも諸外国からも目の敵にされている現状を再確認する。また、英国の通訳官アーネスト・サトウと私的に会話をした事なども伝える。その中にははつみに関する話題もあった。
―長州・下関―
窮途末路
蛤御門での長州大敗退から一月も経たぬ内に、今度は西洋四カ国艦隊が攘夷戦争報復の為に
調整・準備を終え、馬関へ向け横濱を出港するだろうとの報告が長崎から入る。井上聞多と共にイギリス本国を見て来た伊藤俊輔は
『排他的攘夷の不可能』を藩政へ説く一方、蛤御門から一早く生還していた池内蔵太にとある協力を願い出る。
一方、内蔵太はある意味で高杉が激怒しそうな情報をもたらした。伊藤は悩むが、策を決行する。
邂逅
伊藤や井上による藩政説得も空しく、ついに四カ国艦隊による報復攻撃が始まった。
高杉はまたも慌てる政府から引っ張り出され、事情もよく分からぬままに政務座役へ再任。外国との講和談判へと駆り出された。
数度に及ぶ講和談判中にもどこか物見遊山な藩政に裏切られ、そのせいで講和反対派から命を狙われるなど紆余曲折あったが、最終的に西洋列強との講和に成功。ひと段落ついたある日の夜、下関港に突然礼砲の音が響き渡り、来訪者が現れる。
似た者同士
はつみが英国の外交官と『接待』している間、龍馬と共に破壊された台場を見に行く。
互いの思想などを話し合う中でなかなか良い具合に意見が合う二人。しかしはつみの話に及ぶと
嘘か誠か二人してシラを切り通す。はつみを斬った犯人について、龍馬に問う。
First meeting. etc
シーボルトのリクエストで『ふわふわパンケーキ』を作る。英国の紅茶もセットで。
高杉は上海の英国教会等で『治療を施してから布教活動を行う』とする為政者を見ていた為警戒していたが
シーボルトやサトウについてはその様な気配はなかった。結局、『メレンゲ』を作らされる。
シーボルトのピアノ
『日本最古のピアノ』が萩にある事を知っていたはつみ。
それは数年前、シーボルトの父が萩の商人熊谷家へと送った友愛の証だった。
まるで『女装』
はつみに『着物』を仕立てる様白石に要望。着飾る姿を初めて見て、出た言葉がこれ。
惚れた好いた
内蔵太・伊藤・寅之進による惚れた好いた話。
内蔵太ははつみの着物姿を初めて見る。伊藤はお万里が気になっている。
『はつみは高杉が惚れている』為に割り切っているとする伊藤。
はつみ人気に愕然とする寅之進。一方でお万里の好意には気付いていない模様。
柊はこれ以上慣れ合うつもりはないといって去っていく。
はつみや武市、尊王攘夷に対する気持ちが複雑すぎる故。
音楽は国境を越えて
言葉以外の芸術文化が、異国人同士の友好と共感を育むという事を体現。しかし一方ではつみの異質さを心底危ぶむ。
外交官のたまご
撤退する四カ国艦隊の軍艦に乗せられて去っていくはつみ達。
彼女が突然現れた理由を伊藤に問い詰め、白状させた。
一人長州に残ったサトウは、高杉もかつて長崎で目にした『抑圧された女神』について話をする。
―長州~福岡・平尾山荘―
逃亡
藩主は『武備恭順』を掲げるが、正義派を徹底的に排除・処刑し全面恭順の思惑を抱く俗論派の勢いが増す。
そんな中、勇敢にも『武備恭順』を唱え続けた井上聞多が襲撃に遭い、思い詰めた周布が突如自決した。高杉は
正義の士
長州は幕府と戦う事なく恭順の意を示し、永代家老以下家老3名の切腹と参謀4名の斬首を受け入れた。
『国賊』の誹りを受けた中山忠光も殺され、更には五卿をも引き渡し藩主父子に謝罪の上蟄居などを要求されているとの情報を受ける。今や何の後ろ盾もない高杉であったが、ただ正義の為には命など二の次。今こそが『その時』だと悟った。
「あなた様が成さねば誰に成し得る事ができましょう」
「うん。昔、同じような事を言った者がおる。『その時』長州に僕がおらねば成る事も成らぬとな。望東尼よ、その心がわかるか?」
―長州・功山寺―
雷電と共に
『長州には眠れる虎、いや猛牛あり』と、伏する高杉に期待を寄せた内蔵太が中国探索を切り上げ長州に戻る。
同時に内蔵太は伊藤と再会。彼の士気を爆裂的に上げさせる極秘情報…つまり、桂の生存についての情報を携えていた。そこへ、高杉が下関へ到着する。
剛毅果断、時来たる
奇兵隊および諸隊への説得を続ける高杉であったが、武備恭順を説きつつ幕府との戦を避けようと独自路線を行く赤禰や
撤兵条約に含まれる五卿の福岡移転に食いつく月形ら、それら全ての間を駆け回る中岡らとの動きが合わず時ばかりが過ぎてゆく。しかし高杉の視野には、五卿を失った途端、幕軍よりも先に俗論派が正義を打ち滅ぼすであろう道筋だけははっきりと見えていた。命は惜しくない。だが長州の正義の為には
『成』さねばならない。正義の為に散っていった仲間達、はつみの言葉、内蔵太がもたらした情報も胸に抱き、高杉は伊藤の元へと向かった。
功山寺挙兵
12月15日深夜、雪。功山寺挙兵
船上クリスマス
下関新地会所の奉行ら追い出しに成功した高杉は精鋭を率いて三田尻へ向かい、戦闘なしで軍艦の拿捕に成功する。三田尻から下関へ向かう船中、気付けば『12月25日』であった。
●元治二年/慶応元年…高杉26歳・はつみ24歳
―長州・萩―
「回復私議」
軍艦を奪い、庄屋民衆ら5万に迫る支援を受ける高杉ら遊撃隊に対し、奇兵隊諸隊もついに応じ萩正規軍と激突した。
数に劣るが遥かに士気が高い正義派は高杉の覇気に満ちた指揮の下、山口の制圧へ至る。萩へと迫った高杉はついに、再び正義派に勝利をもたらした。
(4月7日)~『慶応元年』へ改元~
―長州・下関―
頑固と素直
表向きは藩主に弓引いた形の高杉は藩政から身を引き、外遊を志しこれが受け入れられ、伊藤と共に長崎に留まっていた。
しかし第二次長州征討の報を受け考えを改め、長州下関へ戻る。再び萩藩による下関領地替えの件に着手し「回復私議」でも述べた様に開港を推し進めようとしたが、長府・清末の攘夷党に命を狙われる。
その噂は癸亥丸に乗り込んで操練技術を磨いていた内蔵太の耳にも届くほどで、高杉を守らんと内蔵太が駆け付けた所で刺客に襲われてしまう。井戸の中に飛び込んで事無きを得た二人であったが、暫くそこで息をひそめる間に緊張感無くはつみの話で盛り上がってしまう。
―IF・現代―
【番外編】高杉晋作異聞奇譚
刺客に襲われ井戸に飛び込んだ高杉。気が付くと見知らぬ河のほとりに経っていた。
驚く程滑らかに整地された地面に立ち、川の対岸には縦長の箱状の建物が立ち並ぶ。
背後に足音が聞こえて振り返るとはつみとそっくりの顔をした女が立っており、
心配そうな、否、怪訝そうな、不安そうな表情で自分を見ていた―。
(4月7日)~『慶応元年』に改元~
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